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浦和地方裁判所 昭和53年(わ)142号 判決

主文

被告人を懲役二年六月に処する。

未決勾留日数中七〇日を右刑に算入する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は

第一  常習として、昭和五三年一月二三日午前零時三〇分ころ、川口市末広三丁目三番九号付近路上に停車中の普通乗用自動車内において、新井常弘(当三五年)に対し、その顔面を革靴履きのまま足蹴にして同人を同車内に転倒させ、更に下車した同人の顔面を手拳で二、三回殴打するなどの暴行を加え、よつて、同人に加療約一週間を要する右顔面切創、右側腹部打撲の傷害を負わせ

第二  法定の除外理由がないのに、岡田重男と共謀のうえ、同年同月五日午後九時ころ、東京都豊島区駒込一丁目四〇番一二号吉野ホテル二〇二号室において、福永廣雄から、塩酸フエニルメチルアミノプロパンを含有する覚せい剤の結晶粉末約六〇グラムを、代金九六万円で譲り受け

たものである。

(証拠の標目)(省略)

(累犯前科)

被告人は(1)昭和四九年七月一七日静岡地方裁判所浜松支部において傷害罪により懲役六月に処せられ、昭和五〇年一月二四日右刑の執行を受け終り、(2)その後犯した暴力行為等処罰ニ関スル法律違反罪により昭和五一年二月二日東京地方裁判所において懲役一年に処せられ、同年一二月三日右刑の執行を受け終り、(3)その後犯した覚せい剤取締法違反罪により昭和五二年二月一〇日東京地方裁判所において懲役一〇月に処せられ、同年一一月九日右刑の執行を受け終つたものであつて、右事実は被告人の当公判廷における供述、前記前科調書及び府中刑務所総括指紋室作成の氏名索引照会に対する回答書によつてこれを認める。

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為は暴力行為等処罰ニ関スル法律一条の三前段(刑法二〇四条)に、判示第二の所為は覚せい剤取締法四一条の二第一項二号、一七条三項、刑法六〇条にそれぞれ該当するところ、前記の前科があるので判示各罪につきいずれも同法五九条、五六条一項、五七条により四犯の加重をし、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年六月に処することとし、同法二一条を適用して未決勾留日数のうち七〇日を右の刑に算入し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととする。

よつて主文のとおり判決する。

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